下肢静脈瘤

下肢静脈瘤とは、血管内にある血流を支える弁が壊れ、足の血流が停滞して溜まり、足の静脈血管が浮き出て目立つようになった症状のことです。


下肢静脈瘤の症状
あまり耳にしたことのない言葉かもしれませんが、太ももの後ろ側や膝の裏側の血管が青筋立っていたり、でこぼこと浮き立っている症状を目にしたことはありませんか?これらは下肢静脈瘤の症状です。そのまま放っておくと、足のだるさやむくみ、かゆみや湿疹となり、重症となると皮膚が黒ずみ、ただれてきます。最終的には、出血や潰瘍にまで発展することもあります。どのような人がなりやすいかというと、比較的女性に多くみられ、年を経るにしたがって割合も多くなります。また、美容師や調理師、店員などの立ち仕事をしている人に多くみられます。一般的に加齢とともに静脈や静脈の弁が弱くなり、静脈瘤の発生頻度が高くなります。


下肢静脈瘤の原因
【動脈と静脈】
血管には動脈と静脈があります。動脈は心臓から送り出された血液を全身の臓器に運ぶための血管です。血液は酸素や栄養分を全身の組織に運び、働きを終えた血液を心臓に戻す血管が静脈です。脚から心臓に戻る血液は重力に逆らって心臓まで昇って行かなければなりません。どのように血液が重力に逆らって心臓に戻っていくのかというと、静脈には逆流を防止するための弁(静脈弁)がついており、常に血液が一方通行になるような構造をしています。そして、足を動かしたときに筋肉が収縮運動をすることで、深部静脈が圧迫され血液が上方に押し上げられています。逆に筋肉が緩むと深部静脈は広がり、下から血液を吸い込みます。静脈弁が壊れると、血液が足の静脈に停滞してしまいます。また、逆流が起こると静脈が拡張し、静脈瘤が発生します。


◇弁が壊れる理由
では、どうして静脈弁が壊れてしまうのでしょうか?人が立った状態であまり動かないと筋ポンプ作用が働かず、血液が心臓に向かって登っていく速度が遅くなります。一方、心臓から動脈を通って送られてくる血液の速度は一定であり、多くの血液が静脈内に溜まり、血管内を圧力が高まります。この状態が反復、持続することで弁に負担がかかり、その負担に耐えられなくなって逆流防止機能を失うことになります。深部静脈は周囲の筋肉によって拡張が抑えられていますが、表在静脈は圧力上昇の影響を受けやすく、弁が壊れやすいと言えます。特に表在静脈が深部静脈に合流するところや穿通枝は、腎部静脈の圧力を直接受けるので、弁不全がよく生じます。


◇血管内レーザー治療
血管内レーザー治療とは、下肢静脈瘤の治療法の一つで、治療する静脈の中にレーザー光を導くための細い光ファイバーを通し、血管内に照射されたレーザーの熱によって、静脈を焼いて塞いでしまう方法です。レーザー治療の最もいい点は、一言でいうと、体に優しい治療で、従来のストリッピング手術では脚の付け根と膝の2か所を切開しなければならないのに対し、レーザー治療では1か所に細い針を刺す方法、もしくは、数ミリの切開で治療することができます。


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