メタボリックシンドロームと眼疾患

近年、メタボリックシンドロームはマスコミにしばしば取り上げられ、非常に注目を浴びています。メタボリックシンドロームとは、生活習慣の乱れから高血圧、脂質代謝異常、高血糖などの危険因子が重なると、心筋梗塞脳卒中などの動脈硬化性疾患を発症する確率がきわめて高くなるという疾患です。眼科領域でメタボリックシンドロームが大きな問題となる代表的な疾患としては、糖尿病網膜症と加齢黄斑変性の2つがあげられます。

【糖尿病網膜症】
糖尿病網膜症は、糖尿病腎症・神経症と並んで糖尿病による3大合併症のひとつであり、わが国でも代表的な成人の失明原因疾患です。

 ・第一段階
  糖尿病により高血糖の状態が続くと、網膜の血管は少しずつ傷んで、
  網膜の血流量が低下します。

 ・第二段階
  血液中の酸素が十分にいきわたらなくなるので、身体は新しい
  (新生)血管を生やして酸素不足を補おうとします。

 ・第三段階
  新生血管は網膜ではなく硝子体側に生えていき、しかも壊れやすく、
  新生血管が破れると硝子体内や網膜上に出血を引き起こします。

糖尿病になると網膜症がすぐに発生するわけではありませんが、自覚症状を認めた際には網膜症はすでに重症化していることが多いので、糖尿病の患者様は症状の有無にかかわらず定期的に眼科を受診し、眼底検査を受けることをお勧めします。


【糖尿病網膜症の治療】
①網膜光凝固術
いわゆるレーザー治療です。新生血管の発生を予防したり、あるいは既にできてしまった新生血管を減らすことを目的として行います。
この治療で誤解を生みやすい点は、レーザー治療はあくまで網膜症の悪化を防ぐためのものであり、決して元の状態に戻すための治療ではないというところです。多くの場合、治療後の視力は変わらないかむしろ低下します。レーザー治療は早い時期であればかなり有効で、将来の失明予防のためにもとても大切な治療です。通常は通院で行い、入院の必要はありません。

②硝子体手術
レーザー治療で網膜症の進行を予防できなかった場合や、すでに網膜症が進行して網膜はく離や硝子体出血がおこった際に行われる治療です。顕微鏡下での細かい操作を要し、眼科領域ではかなり難易度の高い手術となります。

埼玉県行田市行田総合病院は、眼科の外来も受け付けております。
すこしでも気になる症状がある場合は、医療機関に早めにいくようにしてください。